日 時 | 2011年4月21日(木) 6:00~7:00 |
回 数 | 第361回 万人幸福の栞 第1条 今日は最良の一日、今は無二の好機-日々好日- |
講話者 | 前 少年院長 中野 レイ子 |
テーマ | 生きる幸せを求めて~少年院における教育から~ |
備 考 | 中野氏が登場する家田荘子著《少女は、闇を抜けて 女子少年院・榛名女子学園》を、お持ち頂きました。 |
講話風景
幻冬舎 2011年3月 発売 1,575円
『テーマ内容』中野レイ子
36年間、少年院等に勤務し、昨年退職。非行犯罪は何故起きるのか?子供は多かれ少なかれ悪い事はします。大切なのはその後の対応。その事が子供の価値観や人生観に繋がっていきます。何が大切かを学ぶと言うのは、家庭や学校、少年院でも同じです。少年院は罪を犯した子供を懲らしめるのではなく(懲役)、大人になるための勉強の場です。子供の自立を促すことが目的です。少年院に入所する子供に最初に人定確認(面談)をした時に、大半の子が、私を斜めに見上げ、体をゆすって質問にも舌打ちやツバ吐きなどの態度。「この処分をどう受け止める?」の問いには「親が引き取るといわなかったから」の答えが多い。大人に対する不信感が面談時の態度、言葉となって現れる。不信感がある限り教育は成り立たない。早く子供の心に「信頼する」ことを芽生えさせたい。子供が自分の気持ちを自分の気持ちで伝えられるようにしてあげようと思って日々接しました。生育歴は100人いれば100通りあります。犯した犯罪も主犯、共犯様々。出所後の環境も様々。学校との違いは一人一人にあった教育をすることです。入院し、最初は個室で1週間ほど過ごし、何故自分は少年院にいるのだろうと考えさせます。個室期間が済んで面談すると、最初と違い、自身の嬉しかったこと、悲しかったこと、楽しいこと、辛いこと…、泣きながら長い時間話してくれます。少年院の子供達に私が刑務所で出会った小さなおばあちゃんの話を必ずします。彼女は80代、20数回目の刑務所生活でした。面談の時、異様な目の光をした彼女に「80年間どんな人生でした?」と質問し、無言の答えに自分の足りなさを気づかされた。そして彼女に「今回の刑務所生活で最後にしよう、平均寿命まで後数年、死ぬ時に出所して死ぬまではいい人生だったと思えるようにしよう」と伝えた。彼女の娘を探し当て手紙を何度も書き、返事が来た。「これが最後のチャンスよ」と。それからの彼女は一所懸命生活し始めた。将来に展望の光が見出されたら活き活き出来ます。そのおばあちゃんが私に「少年院に戻ったら、今、少年院に来れて良かったね、今まで辛いことたくさんあったろう、この後60、70年続く人生をどう生きるか考えて」と伝えて欲しいと。出所する時に「もし少年院に来てなかったらどうなってた?」と質問すると「もっと上手く万引きしてたよ、もっと覚せい剤を使う回数が増えてたよ」非行はもっとエスカレートしていたと答える。そして「ここに来てよかった」と。出所前に手紙を書かせますが2通紹介します①父親から性的虐待を受けて家出~覚せい剤で送られてきた少女の手紙。「学園の先生は初めて心を開いた大人、自分の気持ちをしっかり受け止めてくれる、幸せになるために少年院に来た、ここでの生活を支えにしてもっと幸せになります。」②暴走族傷害で送られてきた少年の日記「ここで過ごした時間は宝物、出所は喜びより不安がいっぱい、だけど大丈夫、やっていける、ここで学んだ事は簡単に崩れるようなものではない。」
『感 想』
講話者が出会われた何百人の少年少女。その中の一人から6月に結婚しますとの手紙が来たそうです。それが講話で紹介された少女。あったことない少女だけど、心から良かったね、もっと幸せになってね…と強く思いました。
次回モーニングセミナー
4月28日(木) 生駒学会計事務所 生駒 学 所長 です。
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